判例時報平成30年8月号から10月号までの注目裁判例

判例時報平成30年8月1日号(NO.2371)から平成30年10月21日号(NO.2379)までの、実務上重要な裁判例を一覧にまとめました。それぞれ下記リンクをご参照ください。

平成30年8月号(NO.2371~2373)はこちら
平成30年9月号(NO.2374~2376)はこちら
平成30年10月号(NO.2377~2379)はこちら

特に知識として習得しておくべき点を備考欄に記載しております。
最高裁判所の判例で特に注目すべきものとしては、以下のものが挙げられます。

最高裁判所の裁判例以外でも、ハラスメント事案の労働裁判例が豊作でした。8月号掲載の東京高裁平成29年10月18日判決(フクダ電子長野販売事件:セクハラ・パワハラ事案)、9月号掲載の名古屋高裁平成29年11月30日判決(加野青果事件・パワハラ自殺事案の事実認定、因果関係の判断経過は必読です。

● 最判H29.12.18民集71・10号2546頁【総会決議無効確認等請求事件など】
➡理事の互選により理事長を選任する旨を定めたマンション管理規約において、理事長を解任する時は、理事会における理事の過半数の一致で足りることを示した事例判断。

●最決平成30年4月17日民集72巻2号登載予定【不動産引渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件】
➡滞納処分による差押がされた後に設定された賃借権により担保不 動産競売の開始前から建物の使用又は収益をする者は、民法395条 1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」 に該当すると判断した事例(東京地方裁判所民事執行センターの運用が是認されました)

●最判平成30年2月23日民集72巻1号1頁(建物根抵当権設定仮登記抹消登記手続請求事件)
➡①確定した根抵当権の被担保債権である貸金債権は、免責許可の決定の効力を受ける債権であるから消滅時効の進行を観念することができない(最判平成11年11月9日民集53.8.1403)、②抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、当該抵当権自体が民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかる旨判示した事例